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コヒーレント分布操作を目指した新規高輝度狭帯域レーザーの開発

断熱透過法という、注目している相互作用のパラメーターを断熱的に変化させることで量子状態間の分布移動を行う方法論が知られています。われわれは、その一形態であるチャープ断熱ラマン透過(CARP) の実現化のための光源を開発しました。気相中の分子の振動や回転のエネルギーは数〜数千cm-1程度であり、また簡単な分子であってもその回転構造を分解するためには、1 GHz以下の分解能を持った光が必要とされます。(パルス幅としてはフーリエ変換の関係から数ns以上)また、ラマン過程を起こすためにはMV/cm以上の電界強度が必要です。つまり、CARPの実現には、単一の量子状態を選択できる分解能を備え、十分なコヒーレンスを有し、適切に周波数チャープしたパルス光が必要となります。我々は、単一縦モードのシード光を位相変調し、時間的に切り出すことでチャープパルスを生成させました。cwのシード光からCARPが要求するmJのパルスを得るには百万倍程度の利得が必要で、さらにチャープを保持したまま増幅しなければなりません。そこで共振器を持たないシングルパスのパルス増幅器として光パラメトリック増幅(OPA)を用いた狭帯域ナノ秒光源を開発しました。

■Reference

  1. Miyake, S. & Ohshima, Y.
    Injection-seeded optical parametric amplifier for generating chirped nanosecond pulses.
    Opt. Express, 2013. 21(5): p. 5269-5274.

Photogragh of our Yb-doped fiber amplifier. The blight curves show the IR emission from the optical fiber.

駆動中のYb添加ファイバー増幅器:光ファイバーから放射される赤外線が写っています