岡田・長谷川研究室│東京工業大学大学院理工学研究科化学専攻

研究内容

超音波分離−3

超音波放射力の力はマイクロメーターオーダーの粒子にしか及びませんが、間接的にイオンを見分けることもできます。イオン交換樹脂対イオンの性質により、樹脂内の水の量が 変化します。これにより、樹脂の密度や圧縮率(やわらかさ)が変化します。左の写真は水素イオン型とテトラブチルアンモニウム型の陽イオン交換樹脂を分離した例です。後者 は水の含有量が少なく硬いために強い音響放射力を受けますので、超音波トランスデューサへの電圧が低くなっても浮いていますが、水素イオン型の樹脂は沈んでしまいます。

この原理を利用してイオン交換樹脂の対イオンの交換を樹脂粒子の浮揚位置の時間変化から追跡することができます。 たとえば、水素イオンからテトラエチルアンモニウムへの置換では浮揚位置が上昇し、逆の反応では下降します。 解析により樹脂粒子中のイオンの拡散係数を算出し、置換の状態を知ることができます。

Resin used: Dowex 50W X8
Bead size: 30 μm 〜 100 μm
Countercation:H+, K+, Cs+, or TEA+