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有機合成化学へのいざない

  化学研究の醍醐味は「分子を創り,視て,操ること」にあります。多種多様な有機化合物を自由自在に合成することができる有機合成化学は,その楽しさを味わうのにうってつけの研究分野といえます。特に,新しい有機合成反応を開発することは「新しい有機化合物を創製する」ことにつながりますので,新しい化学の発見に出会う機会は無限大です。自分たちで創り出した世界に1つしか無い分子触媒が,今まで誰も見たことのない新しい反応を起こし,新しい分子を世に生み出した時の感動と喜びは,言葉で言い表すことができません。みなさんも是非一緒に,同じ感動を味わってみませんか?


Try HARD, ENJOY Chemistry!

  当研究室では,将来どんな分野の研究に携わることになっても「研究者」として活躍できる力をもった学生の育成に努めています。有機合成化学の研究室では実験が大切であることは言うまでもありませんが,しばしば実験して良いデータ(例えば収率が高いとか,選択性が高いとか)を出しさえすればよいという安直な考えに陥りがちです。我々はそうではなく,目的物が収率90%で得られたのなら残りの10%分はどうなったのか?,副生成物の構造は何なのか?,反応機構はどうなっているのか?など,実験データに真摯に向き合い,目の前で起こった化学反応や現象をトコトン追求し,分子のふるまいを深く理解することを重要視しています。またそのために必要な有機化学の基礎から最先端の知識をしっかり備えるべく,研究報告会の他にも様々な機会(論文抄録会,全合成を題材にした勉強会,有機反応の問題演習会,専門書の輪講会など)を設けており,勉強面にも力を入れています。このような教育研究を通して,学生の皆さんには実験技術だけでなく優れた論理的思考能力と深い知的好奇心を身につけ,研究者として成長してもらいたいと考えています。これらのことは,一朝一夕でできることではありませんし,決して楽なことではありません。ですが,このような日々の研究実験と勉強に一生懸命に取り組み,密度の濃い研究室生活を送れば,そこで得た経験・知識・人とのつながりがきっと一生モノの財産となり,皆さんの将来に役立つものと考えています。

  また,研究室に所属して研究を行うということは,新しい化学を世界に対して「発信する側」にまわるということを意味します(学部3年生までは教わる側)。当研究室では,それぞれの学生が独立した研究テーマをもちます。もちろん学生の皆さんは成長過程にあり,勉強することがまだまだたくさんありますが,「自分の実験に関しては(教員よりも)自分が一番詳しい」という自負を持って欲しいと思っています。すなわち,研究者としては教員と対等の立場にあるのです。学生のみなさんには,教員とか先輩後輩とかは関係なく,仲間として(時にはライバルとして?)共に切磋琢磨し,化学を楽しみながら研究者として成長してもらいたいと思っています。

  当研究室の教育や研究内容に興味を持った方はお気軽にご連絡下さい。研究室見学はいつでも受け付けています。