研究内容

我々が目指すもの

 有機合成化学とは,読んで字のごとく「有機化合物を自由自在に合成する」学問です。我々の生活は,多種多様な有機化合物に支えられて成り立っています(医薬・農薬、高分子材料・電子材料、生体関連物質など)。すなわち有機合成化学とは,現代の人類社会の根幹を成す「分子レベルのモノづくり」といえるでしょう。実際に,有機化学の教科書や専門書を開くと,そこには先人達が開発してきた何百という有機反応が収録されています。それらを利用することで,我々は様々な有機分子を自由自在に合成することができるのです。

 一方,我々が研究しているのは,教科書には載っていないけれども“もしこんな分子変換ができたらいいな”という,新反応の開発です。例えば,「石油資源である単純炭化水素を有用化合物に直接変換する反応」,「欲しい物だけを選択的に合成する反応」,「メタンや窒素など普遍小分子を有用有機化合物へと変換する反応」など,従来の不可能を可能にする革新的有機合成反応の開発を目指しています。このような分子変換は,試薬会社で売っている既存の触媒や教科書に載っている既存の反応の組み合わせでは実現できません。我々は,これまでに無い優れた機能を備えたオリジナルの遷移金属触媒や反応活性種を自ら創製して利用しています。このようなゼロからイチの創出を目指す学術的な基礎研究こそが,未来の人類社会の役に立つ重要な科学技術に大成すると考え,日々研究に取り組んでいます。

研究内容

  現在,主に以下の3つの研究テーマに取り組んでいます。我々の研究室では,単なる反応開発だけでなく,金属錯体の合成や構造解析,反応機構解析,理論計算,我々の反応を活用した機能性分子の開発など,様々なことに取り組みながら研究を進めています。これら以外の現在進行中の研究プロジェクトも多数ありますので,我々の研究内容に興味がある方,より詳しい内容が知りたい方は,ぜひ研究室見学にいらして下さい。