玉浦研で使用している装置

ガスクロマトグラフィー
用途:気体混合物を分離、同定する。

原理:試料となる混合気体を内部に液膜が張られたチューブ(充填カラム)に不活性ガスとともに通過させる。
 混合気体中の各成分は、その液膜に対する溶解性、吸着性の違 いなどから、充填カラムにとどまる時間(保持時間)が異なるため、カラム出口では成分ごとに分離されて出てくる。
 この分離された成分を適当な検出器で次々に検知測定する。

 当研究室では、TCD(Thermal Conductivity Detector)とFID(Flame Ionization Detector) の検出器をもつ2種類のガスクロマトグラフィーを所有している。
TCD:気体の熱伝導の差を利用するもので、サーミスタの電気抵抗の差として検出する.キャリアガス以外なら何でも検出可能で構造も単純だが感度が低い。
FID: 高電圧電極間で水素を燃焼させ、ここにキャリアガスを流しておく.成分が水素炎中でイオン化し、電極間に流れた電流を検出する.感度が高い。

ダイレクトガスマス計(DGM)

用途:H2、O2など低分子量の気体状態物質を高感度で同定、定量する。

原理:装置内は真空状態になっており、試料となる気体を引き込む。
 引き込まれた気体分子はイオン室にてイオン化され、四重極子(4本の柱に、直流電圧に高周波を重畳した信号を入れたもの。そこでは、直流電圧の大きさと高周波の振幅の大きさがある特定の値のとき、その値に相当した範囲の質量のイオンのみが柱の中を通過でき他の質量のイオンは発散して通過できない。 )をとおってある範囲のイオンのみが検出器にいく。
 検出器内では、電場、磁場がかかっている。イオンは帯電しているので、それらの影響から軌道がまがり、検出器で検出される。


 
粉末X線解析装置(XRD)
用途:結晶性物質の原子配列についての情報を得ること及び、その同定。

原理:タングステンフィラメント(陰極)と対陰極の間に高電圧 をかけ、熱電子を発生させ、対陰極にあてX線を発生させる。
 波長を一定にした単色X線を結晶面に入射角をかえながら照射する。
 X線が結晶格子面で反射し、互いに干渉しあい、条件式を満たす方向の回折線のみ強度が増大する。
 その条件式は結晶の原子配列に依存するので強度の増大された回折角θを観測することで結晶の原子配列について知ることができる。


熱天秤・示差熱分析計(TG-DTA)
用途:試料の加熱、冷却に伴う分解、酸化、還元、昇華、吸着、脱着などの反応に関する情報を得る。

原理:試料を加熱・冷却(室温〜1500℃)しながら、重量変化 及び 基準物質との温度差を測定する。
 質量変化及び発熱、吸熱ピークは分解、酸化、還元、昇華、吸着、脱着、などが原因となってあらわれるので、これらを温度の関数としてとらえれば、各温度における上述の反応の起こり具合がわかる。


擬似太陽光シミュレーター(キセノンランプ)
用途:自然昼光に近いスペクトルを持った光を小スポットに集光し、エネルギーを得る。ロータリー型反応炉では、さらにこれをCPCで集光する。

原理:二灯の5kWキセノンランプを集光ミラーで小スポットに集光する。



赤外イメージ炉
用途:実際の集光太陽熱はまだ利用できないため、擬似集光太陽熱の代わりとして試料の加熱に利用します。急速加熱や高温で反応を行うのに使用します。約1500℃まで加熱できます。

原理:赤外ランプから放射される赤外線を楕円または放物面に反射鏡で反射させ炉心に集光する。集光熱を照射します。

電気炉
用途:試料の合成や高温の反応に使用します。約1000度まで使用できます。

ダイヤモンドカッター
用途:ガラス器具や石英管などの切断に使用します。

インピーダンス測定装置(126096W型)
用途:新素材や複合材料の開発において、試料の物性を知るためにインピーダンス測定する。半導体、液晶、誘電材料、などの誘電率、tanδ等を超低周波から高周波まで高精度に測定するためのインターフェイスであり、通常、インピーダンスアナライザ単体では、計測不可能な|Z| > 100MΩの高抵抗サンプルやtanδ < 10-2のような低誘電損失のサンプルでも誘電率測定が可能になります。

電気炉 ニューケラマックス炉(QR-1850)
用途:試料の合成に使用します。上の電気炉とは違い1850度まで使用できます。他にも、

1. 高温材料の試験研究
2. 高温物性の評価
3. ファインセラミックスの焼成
4. ガラスの溶解
5. 特殊金属の溶解
にも使用されます。

全自動ガス吸着量測定装置(AUTOSORB-1 MP)
用途:ガス吸着を利用してサンプルの表面積を調べます。ミクロ細孔分布解析、P/P0=1×10-7〜の超低圧にも対応したガス吸着量測定装置です。

原理:既知の物質量の吸着ガスを導入することによって得られるはずの理論圧力と実測の圧力の差を吸着によって減少した圧力として吸着量を求める。

メスバウアースペクトル
用途:ガンマ線共鳴吸光スペクトルを測定することによって物質内の金属原子の結合状態(配位数、各サイトの特定金属量)を知ることができます。玉浦研究室では主に鉄原子のスペクトルを測定しています。

原理: ガンマ線放出を起こす金属原子を光源とし、測定試料にガンマ線をあて、ガンマ線の透過量を検出器で検出します。吸収したエネルギー点で透過量が減少するため、そのエネルギーに応じて配位数や結合を確認できます。鉄原子に対して、光源は57Coを使用します。

他にも、ラマンスペクトル測定、SEM、TEM、XAFSなどを用いて研究しています。




2008 Tamaura / Ihara Laboratory ― Tokyo Institute of Technology

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