用語集
------わからなくても諦めない--------

1. 集光太陽熱
太陽光を一点に集めて高フラックスにした太陽エネルギー(虫眼鏡に光を通すと焦点に光が集まるのと似ています。)
2. ソーラー水素
太陽光を用いて発生させた水素(水素の発生方法としては、玉浦研で行っている生産方法と光触媒によって生成させる方法があります。これらの主な違いは、太陽熱を利用しているか太陽光の波長を利用しているかです。)
3. 二段階水分解反応
水を二段階で繰り返して分解する反応(一段階目は酸素を発生させるので酸素放出過程といい、二段階目は水素を発生させるため水素生成過程になります。)
MOox = MOred + 1/2O2(g)  : 酸素放出過程(吸熱反応) ・・・ (1)
MOred + H2O(g) = MOox + H2(g)  : 水素生成過程(発熱反応) ・・・ (2)
上記の(1)と(2)の反応を繰り返して行う反応です。よって、材料が出発物質に戻るため何度も繰り返して行うことができます。
4. ヘリオスタット
太陽光を反射させるための鏡。地上に配置し太陽光を反射します。
5. ソーラーハイブリッド燃料
太陽エネルギーと化石燃料を組み合わせ二酸化炭素排出量削減と化石燃料枯渇防止を目指した燃料

「細かい説明」

世界のサンベルト地帯では集光太陽熱発電が実用化段階にありますが、日本は地理的条件(日照条件)から太陽熱発電開発が困難です(国のサンシャイン計画により日本での太陽熱発電は断念された。)。しかし、日本でサンベルト地帯の集光太陽熱を利用ためにソーラーハイブリッド燃料生産技術が考えられます。
C+CH4+2H2O=2CO+4H2→2CH3OH  ・・・ (3)=(4)+(5)+(6)
CH4+1/2O2=CO+2H2  : 天然ガスの部分燃焼改質  ・・・ (4)
C+1/2O2=CO  : 石炭の酸素ガス炊き化   ・・・ (5)
2H2O=2H2+O2  : 集光太陽熱による水分解  ・・・ (6)
上記の反応では、(4)と(5)の反応で現在エネルギーが供給させているが、この2つの反応に(6)の反応を組み合わせた(3)の反応にすることで単純に化石燃料使用するよりも二酸化炭素を削減できるだけでなく(反応熱が15%増加するため使用できるエネルギーが増大する。)、発生した気体からメタノールやジメチルエーテルを合成することでサンベルト地帯以外でも既存のインフラで輸送して燃料を利用できる技術です。
6. サンベルト
地中海沿岸、北アメリカ大陸中部、西アジア地帯、北アフリカ地域やオーストラリアなどの日照量の多い地域
7. フェライト
約80年前に東工大で発見された磁性材料(鉄系酸化物)であり、スピネル構造(または逆スピネル構造)を形成します。スピネル構造の代表例はMgAl2O4であり、スピネル構造の鉄系酸化物がフェライトです。玉浦研究室ではフェライト材料を用いた研究を長年行っています。1990年に玉浦教授はフェライトの代表格であるマグネタイト(Fe3O4)のカチオン過剰(酸素欠損)を利用した二酸化炭素完全分解反応を発見しNatureに投稿しています。

Y.Tamaura, M. Tabata, ''Complete reduction of carbon dioxide to carbon using cation-excess magnetite'' Nature, 346, 255-256.
8. カチオン過剰または酸素欠損
フェライトをAB2O4で表すとします。このフェライトを高温に加熱すると格子内の酸素が放出するため化学量論的に酸素が不足してしまいます。もしスピネル構造を維持しているのであれば、化学式はAB2O4-δとなります(δは欠損度)。この状態を酸素が不足しているので酸素欠損、または陽イオンが過剰にあるのでカチオン過剰といい、これが先ほど説明した二段階水分解反応の第一段階に当たります。
9. 廃液処理施設について
玉浦研究室は廃液処理施設に位置しています。この建物内には、玉浦研究室と環境保全室があります。環境保全室では、東工大の廃液や廃棄物の管理、分析などをしています。玉浦先生に御用の方は廃液処理施設1階の教授室を玉浦研に御用の方は廃液処理施設2階の玉浦研を環境保全室に御用の方は廃液処理施設1階の環境保全室を訪れてください。
10. DとかMとかBとか
DはDoctorで、博士課程
MはMasterで、修士課程 の略で、後の数字は学年を表します。例えばM2なら修士2年です。
BはBachelorで、学士(学部生)


2008 Tamaura / Ihara Laboratory ― Tokyo Institute of Technology

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