芳香環の配列を自在に設計して新しい構造や機能を創る

1. アントラセン−アセチレンオリゴマーの化学


アントラセンとアセチレンのユニットを巧みに組み合わせて,新しいタイプのπ共役系オリゴマーを設計しています.ユニットの数や連結位置を変えることにより,多くの特異な構造や性質をもつ環状オリゴマーを合成することができます.これまでに環状2量体から12量体まで合成し,分子構造,電子スペクトルや動的挙動を分光学的測定と理論計算により調べています.

 Ref. S. Toyota, Pure Appl. Chem. 2012, 84, 917.

2. 新しい立体異性体の設計


芳香環の組み合わせと立体障害を利用して新しい立体異性体を設計し,異性体の合成と単離および構造解析を行っています.アセチレン誘導体では、嵩高い置換基を導入することでアセチレン軸の回転を束縛することができ,いくつかの立体異性体を単離することに成功しました.また,分子のねじれ方の異なる環状化合物や、ビアリール(ビアントリルやビテトラセン)も標的化合物としています.

 Ref. S. Toyota, Chem. Rev. 2010, 110, 5398.

3. 機能性アントラセン誘導体の効率合成


アセチレンが置換したアントラセン誘導体は強い蛍光性を示すなど,機能性物質として注目を集めています.複数の反応工程を集積する方法(ワンポット法)により,このような構造をもつ誘導体を効率的に合成するための研究を進めています.また,アセチレン置換アントラセンの構造を直線的あるいは環状に高度に集積した化合物を作り,従来にはない物性や機能をもつ化合物を探索しています.

 Ref. 豊田真司,岩永哲夫,有機合成化学協会誌,2015年4月号.

4. 特殊な構造をもつパイ系化合物の合成


特異な構造や電子状態をもつ面白い構造をもつ化合物を合成し,構造や性質を解明しています.たとえば,複数のアルキンを非常に接近させた化合物では,ひずみが大きいため三重結合間で環化反応が容易に進行します.また,空孔をもつように芳香環を規則的に連結した化合物,歯車状のユニットをかみ合うように配置した化合物(分子歯車)などを研究の対象としています.