岡田・福原研究室│東京工業大学理学院化学系

研究内容

マイクロ水滴分析法

先端加工技術を用いてナノ・マイクロサイズの流路を基板に加工し、化学分析やバイオ分析に利用するマイクロ流体化学を研究しています。特に油中水滴(マイクロ水滴)を利用した化学・バイオ分析集積化法を研究しています。

自発乳化を利用するマイクロ水滴選択的濃縮法 マイクロ流路内にデザイン・加工した構造を利用して多数のマイクロ水滴を並列作成しています。有機相中の逆ミセル中の水和(水の活量)を調整して、ダム構造で引っかけて固定しているマイクロ水滴の周囲に流すと、マイクロ水滴から逆ミセルに向けて水が輸送されます。この現象を利用して、マイクロ水滴に濃縮をかけることができます。同時に溶質も分配しますが、この分配には親水性/疎水性・分子量などに依存する化学選択性があるため、選択濃縮を実現できます。このような現象を利用して、バイオ分析の集積化を目指しています。

粒子凝集の観察 上記の現象を利用すると水滴内の塩濃度を広い範囲で連続的に変更できる。ポリスチレンナノ粒子の凝集・界面局在のバランスなどを検討できる。

溶媒応答材料 マイクロデバイスの基板としてポリジメチルシロキサン(PDMS)を用いる場合、特に水/有機相系の二相系の場合に、表面の性質により操作が変わってくる。われわれのグループでは、PDMSに少量のポリエチレングリコール誘導体を添加することで、PDMS表面を溶媒応答表面とすることに成功した。この表面を用いることで、タンパクの吸着を防ぎながら、マイクロ水滴生成が安定に行えるなどの利点がある。


参考文献

 

 

1)福山真央, 火原彰秀, "自然乳化を利用した微量試料前処理操作の開発 ", 分析化学, 71(7-8), 391-397 (2022). https://doi.org/10.2116/bunsekikagaku.71.391
2)

Fukuyama, M., Kubota, K., Hibara, A.: 

Nanoparticle Assembly at the Water-Oil Interface Induced by Spontaneous Emulsification for Microdroplet Immunoassay. 

Langmuir. 39, 7884-7890 (2023). https://doi.org/10.1021/acs.langmuir.3c00723

3)

Fukuyama, M., Hibara, A.: 

Microfluidic Selective Concentration of Microdroplet Contents by Spontaneous Emulsification. 

Anal. Chem. 87, 3562-3565 (2015). https://doi.org/10.1021/acs.analchem.5b00155