高校生の皆さんへ

皆さんは、どんな職業につきたいかを考え始めたころではないでしょうか。またそれに関連して、大学で、どんなことを学ぶか、どの大学に行くか、についても、悩み始めたころではないでしょうか。その悩みに答えることができるのは、自分自身なのですが、そう言ってしまっては身も蓋もないので、少し一緒に考えてみましょう。その中で、化学の面白さと大学での学びを語りたいのです。私は、本学の化学専攻に所属し、物理化学の研究をしている実験屋です。物理化学とは聞きなれない言葉かもしれませんが、ちょうど物理と化学の真ん中あたりに位置する学問分野です。

大前提として、皆さんは理工系に進みたいと考えているとします。まずは理学部に行くか、それとも工学部に行くかを選択しなくてはなりません。理学部と工学部は、似たところもあれば、その反面すごく異なる点もあります。もしあなたが、少なからず原理的なことに興味があるのならば、理学部に進んでください。そして自然科学をしっかりと、かつ幅広く学ぶのが良いと思います。きっと満足することでしょう。でも自然科学といっても色々あります。どれを主として学ぶか、それが大事です。そこでおすすめなのが、化学です。というのは、化学がカバーする領域が広大だからです。物理や数学よりの分野があるかと思えば、その一方で限りなく生物に近い分野もあります。また、環境問題やエネルギー問題の解決に直結した分野もあります。化学を主たる専門とすれば、これから皆さんが気付くであろう、自分のしたいこと、自分にぴったりと来ることが、きっと見つかります。

もう一つ強調しておきたいことがあります。それは現代化学と高校で学ぶ化学があまりにも異なることです。おそらく皆さんは、化学とは、計算と暗記の科目であると思っていることでしょう。私もそうでした。化学は得意ではありませんでしたし、好きでもありませんでした。しかし大学に入り、驚きました。現代化学が実は概念と論理の体系であることを知ったからです。それで、すっかり化学に、はまってしまったのです。現代化学とは、量子力学、統計力学、熱力学などを武器に、物質世界の森羅万象を解明する学問なのです。自分の好みに応じて、物質世界の一般性を追求して、抽象の世界に遊ぶこともできますし、物質世界の多様性に酔うこともできます。その人その人ごとの化学の楽しみ方があるのです。

さて、大学に入ると途端に自由が増えます。勉強しなさいなどという余計なことを言う人は、ほとんどいません。実は大学で学ぶべき最も大切なことは、自分なりの“学ぶ方法論”を身につけることなのです。高校時代と比べて、科学の最先端にずっと近いレベルのことを学ぶわけですから、“受験勉強で勝てる方法論”がそのまま通用するはずがありません。一度そのような方法論を捨てて、新しい方法論を自分で構築する必要があるのです。これには数年を要しますが、一度自分なりの方法論を身につけさえすれば、どのような分野に進んでも活躍できるのです。そのような方法論を身につけるころが、学部卒業のころという訳です。

大学というところは、世の中よりも時間スケールがずっと長い社会です。そのなかで、高校生時代とは全く異なる観点で生活できるメリットは測り知れません。ぜひ、我々の仲間となって、このメリットを味わって下さい。

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