二電子還元だけを駆動する新しい錯体光触媒の創製
これまでに酸化還元の光触媒反応は数多く研究されてきたが、そのほとんどは、電子移動によって開始されるものであった。 この場合、反応中間体としてラジカル種が発生してしまうことが原因で、多くの問題点が生じてしまう。
我々は、電子移動を経由しない、まったく新しい機構で進行する多電子還元光触媒の創製に成功した。 この光触媒系を用いると、植物の光合成と同じ生成物分布で補酵素NAD(P)の選択的ヒドリド還元できる。 現在、この光触媒の高機能化を進めるとともに、不斉光還元触媒への展開等、多様な活用法の開発を行っている。