3)光/金属協働反応系の開拓

  光エネルギーと遷移金属触媒作用を協働的に利用した様々な不活性結合・不活性分子の革新的分子変換反応の開発に取り組んでいます。

  例えば最近私たちは,様々なアリールアルキルケトン誘導体とピナコールボラン(HBpin)に対して,365 nmの光照射かつ加熱条件下でロジウム触媒を作用させると,アリールボロン酸エステルが良好な収率で得られることを見出しました。これは,単純ケトンのアシル基炭素−炭素σ結合を直接的に切断して分子間アリール化を実現した初の例です。本反応では,ケトンのNorrish type I反応によって生じたアシルラジカルがロジウム触媒によって捕捉され,脱カルボニル/C–B結合の還元的脱離を起こすことで生成物が得られます。これは,古典的な有機光反応であるNorrish Type I 反応と遷移金属触媒反応を融合した新しい反応制御法であり,炭素−炭素σ結合変換反応を実現するための新手法として極めて有望です。

  本コンセプトに基づき,様々な”教科書に載っていない新反応”,”革新的な不活性結合・不活性分子の変換反応”を開発中です!