Ⅰ.目的・特色

化学とは

物質の性質や構造について原子や分子のレベルで理解・解明することから始まり,それらを制御・操作し,さらには新しい物質を分子レベルで創造し構築することを目指した学問です。多様で魅力的な分子の世界を理解し自在に操る化学は,まさに,自然科学の中心に位置する学問分野です。

近年の化学および関連分野の急速な発展に伴い,研究対象となる分子は,単純な単原子・2原子分子からDNAやタンパク質などの巨大な生体分子,カーボンナノチューブやデンドリマーなどの人工超分子へと広がってきました。また,解析手法の進展によって,分子の形を観測したり,分子の振動や化学反応の時間変化を直接観測したりすることも可能になっています。原子・分子により形づくられるナノサイズのミクロな世界,ミクロな現象の積み重ねだけでは理解できない複雑なマクロの世界,化学は,分子や原子が織りなすこれらの魅力的な研究対象への多彩なアプローチを提供します。

これらの対象を理解し,それをもとにして,これまで誰もみたことにない新しい現象をみつけ,手にしたことのない新しい物質を構築してみましょう。

分子レベルでの物質構造・反応の解明から新物質の創造まで

 

化学系とは

化学系の教育は,基礎学力に裏付けられた鋭い洞察力と着実なデータ解析力をもつ,独創性豊かな研究者,教育者,技術者を育てることを目的としています。化学系では,基礎研究をその中心に据え,原子・分子とその集合体の振る舞いを支配する原理を探求し,物質の個性,多様性をより深く認識するとともに,その原理を自在に応用・展開することをめざした教育・研究を行っています。

研究の面では,実験・理論両面にわたる新しい手法を積極的に開拓するとともに,化学と境界を接する他の自然科学である物理学,生物学などへも化学の特徴を生かして積極的にアプローチを行い,新しい領域を開拓しています。

化学系の大きな特徴として,学生が安心して実験できるように実験室の安全対策を徹底していること,および周辺の環境への対策に努力していることが挙げられます。世界レベルの教員陣と研究設備を有する化学系に,熱意あふれる学生の皆さんが積極的に参加してくれることを期待しています。

日本最高レベルの安全対策を施した新鋭実験室
(東1号館)

整備された合成実験室

最先端のレーザー計測器